1998年の映画(1998ねんのえいが)では、1998年(平成10年)の映画分野の動向についてまとめる。

1997年の映画 - 1998年の映画 - 1999年の映画

出来事

世界

  • 2月23日 - 『タイタニック』(ジェームズ・キャメロン監督)が全世界興収9億1400万ドルを突破、歴代第1位(最終的には18億4320万ドル)となる。
  • 5月20日 - 『GODZILLA』(ローランド・エメリッヒ監督)全米公開、大ヒット。
  • 9月8日 - 『愛を乞うひと』(平山秀幸監督)、第22回モントリオール映画祭国際批評家連盟賞受賞。
  • 10月20日 - 韓国、日本大衆文化段階的開放計画の第1弾として、一部の日本映画、漫画本などの解禁を発表。
  • 12月5日 - 韓国で北野武監督『HANA-BI』が、一般映画館での日本映画初公開作品として、韓国内35館で上映。

日本

  • 1月
    • 東宝、平成9年度(1-12月)の映画営業部門の年間配収193億7000万円で、歴代新記録および国内年間配収新記録達成。
    • 1月1日 - 有楽町スバル座、年間興収4億952万6100円で新記録達成。
    • 1月18日 - 東京宝塚ビル再開発のため、64年の歴史を有するスカラ座は『エアフォース・ワン』(ウォルフガング・ペーターゼン監督)をもってフィナーレ、2000年12月まで休館。
    • 1月19日 - 松竹、新社長に大谷信義就任。奥山融社長、奥山和由専務を解任。
  • 2月
    • 2月1日 - 東宝東和が東和映画を吸収合併。存続会社は東宝東和、東和映画は解散。
    • 2月2日 - 文化庁、コンピューターグラフィックス、アニメなど新分野の芸術作品を対象に創設した第1回メディア芸術祭開催。アニメ部門大賞に『もののけ姫』(宮崎駿監督)。
  • 3月
    • 3月25日 - 松竹シネマークシアターズ、同社の株式をすべて松竹が買い取り、松竹とシネマークインターナショナル社の合弁契約解消。社名を「松竹マルチプレックスシアターズ」と改称。
    • 3月30日 - 日活、映像作品の企画製作を主とした新会社「チームオクヤマ」設立。
  • 4月
    • 4月1日 - 住友商事の子会社アスミックと角川書店の子会社エースピクチャーズが対等合併し、「アスミック・エースエンタテインメント」設立。
    • 4月6日 - 松竹、大谷信義社長がグループ全社員に再建への決意表明し、協力要請。
    • 4月23日 - 東映衛星放送設立。
    • 4月24日 - 映倫維持委員会、映画倫理規程、審査基準を改訂し、新レイティング発表。成人映画は「R-18」、一般映画制限付(R)は「R-15」、12歳未満の年少者は親・保護者の指導助言が必要で同伴が望ましい「PG-12」を新たに設定、「一般」と合わせて4段階となる。
    • 4月25日 - 東急レクリエーション第1号シネコン、横浜市・109シネマズ港北開場。
  • 6月
    • 6月1日 - GAGA、映画商品ファンド販売開始。
    • 6月6日 - 横浜市、ミニシアターのシネマ・ベティで『南京1937』(呉子牛監督)の初日上映中に右翼団体構成員がスクリーンを切り上映中止に。日本映画監督協会、上映妨害事件に対し抗議声明を発表する。
    • 6月13日 - 東京都渋谷区のシネマライズにて『ムトゥ 踊るマハラジャ』の公開スタート。2時間半近くある長丁場にもかかわらず異例の大ヒットとなる。
  • 7月
    • 7月10日 - 大阪・北野劇場で上映の『タイタニック』(ジェームズ・キャメロン監督)が1館での興行収入では国内外でも例を見ない新記録樹立。上映期間19週(203日)で入場人貝59万5554人、興行収入10億5505万5000円を記録。日計興収200万円以上連続203日、日計興収300万円以上通算201日。
    • 7月11日
      • 『GODZILLA』(ローランド・エメリッヒ監督)公開、大ヒット。
      • 名鉄東宝劇場分割改装工事竣工。名鉄東宝1・2新装開場。
    • 7月13日 - 映画『スウィートホーム』の黒沢清監督(原告)が著作権侵害ほかで伊丹プロ・東宝(被告)を相手に賠償などを求めた訴訟の控訴審で東京高裁は一審を支持、原告側の請求を棄却。
    • 7月18日 - 劇場版「ポケットモンスター」シリーズ第1作、『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』/『ピカチュウのなつやすみ』がニュー東宝シネマ1ほか東宝洋画系で公開、大ヒット。
    • 7月31日 - 東芝、ワーナー・ブラザース、日本テレビの3社が出資、トワーニ設立。
  • 8月
    • 8月19日 - 西友、シネセゾンの清算を発表。
    • 8月31日 - 大阪・東宝敷島劇場、東宝敷島シネマ、再開発のため休館。
  • 9月
    • 9月6日 - 映画監督・黒澤明死去、享年88。9月13日、「黒澤監督・お別れの会」を黒澤フィルムスタジオにて、黒澤プロダクション・黒澤フィルムスタジオ・東宝の3社で共催。従三位銀杯、10月1日には国民栄誉賞追贈。
    • 9月8日 - 松竹、大谷信義社長、迫本淳一副社長が社員・関係会社役員に「再建3か年の骨子」を説明。
    • 9月22日 - 東宝・藤本真澄ゆかりの名画座銀座並木座閉館、45年の歴史に幕。
  • 10月
    • 10月1日 - 東映動画が「東映アニメーション」と改称。
    • 10月23日 - HEP NAVIO(旧・ナビオ阪急)リニューアルオープン、7階にナビオシネ4・5新装開場。
    • 10月24日 - 東京国際映画祭の協賛企画「英国映画祭」開催(11月8日まで)。
    • 10月31日
      • 『踊る大捜査線 THE MOVIE』(本広克行監督)公開、初回上映前に東京・有楽町マリオンの劇場開場以来最高の3200人が列を作るなど大ヒット。
      • 第11回東京国際映画祭開催(11月8日まで)。従来の入場者数の記録を更新。
      • 東京・新宿文化ビルに、新宿文化シネマ4開場。
  • 11月
    • 11月11日 - 映画評論家・淀川長治死去。
    • 11月23日 - 日活向島撮影所跡地に「近代映画発祥の地」建碑。
  • 12月
    • 近畿映画劇場が「きんえい」と改称。大阪・アポロシネマ8開場。
    • 12月5日 - 東宝グループ初となるシネマコンプレックス、福井県・鯖江シネマ7開場。
    • 12月12日 - 『アルマゲドン』(マイケル・ベイ監督)公開、大ヒット。
    • 12月15日 - 松竹、業績不振により鎌倉シネマワールドを閉鎖。
    • 12月22日 - 松竹、本社を東劇ビルに移転し、業務開始。
    • 12月30日 - 映画監督・木下惠介死去。銀杯追贈。

周年

  • 創立75周年
    • ウォルト・ディズニー・カンパニー

日本の映画興行

  • 入場料金(大人)
    • 1,800円
    • 1,825円(統計局『小売物価統計調査(動向編) 調査結果』 銘柄符号 9341「映画観覧料」)
  • 入場者数 1億5310万人
  • 興行収入 1934億9900万円
出典: 「1998年日本映画・外国映画業界総決算 日本映画」『キネマ旬報』1999年(平成11年)2月下旬号、キネマ旬報社、1999年、174 - 176頁。 

各国ランキング

日本配給収入ランキング

#2の出典:『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』キネマ旬報社〈キネマ旬報ムック〉、2012年5月、576頁。ISBN 978-4873767550。 
上記以外の出典:1998年配給収入10億円以上番組 - 日本映画製作者連盟

全世界興行収入ランキング

出典:“1998 Worldwide Box Office Results”. Box Office Mojo. 2015年12月26日閲覧。

北米興行収入ランキング

出典:“1998 Domestic Yearly Box Office Results”. Box Office Mojo. 2016年1月17日閲覧。

オーストラリア興行収入ランキング

  1. プライベート・ライアン
  2. バグズ・ライフ
  3. メリーに首ったけ
  4. 恋愛小説家
  5. ウェディング・シンガー
  6. ディープ・インパクト
  7. ドクター・ドリトル
  8. グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち
  9. アルマゲドン
  10. スライディング・ドア
出典:“Australian box office data”. Movie Marshal. 2016年1月17日閲覧。

フランス観客動員数ランキング

  1. タイタニック
  2. 奇人たちの晩餐会
  3. ビジター
  4. TAXi
  5. ムーラン
  6. ライフ・イズ・ビューティフル
  7. アルマゲドン
  8. プライベート・ライアン
  9. プリンス・オブ・エジプト
  10. マスク・オブ・ゾロ
出典:“FRANCE 1998 - BOX OFFICE STORY”. boxofficestory. 2016年1月17日閲覧。

ドイツ観客数ランキング

  1. タイタニック
  2. アルマゲドン
  3. ムーラン
  4. モンタナの風に抱かれて アメリカ合衆国
  5. ドクター・ドリトル アメリカ合衆国
  6. プライベート・ライアン アメリカ合衆国
  7. エネミー・オブ・アメリカ アメリカ合衆国
  8. メリーに首ったけ アメリカ合衆国
  9. ディープ・インパクト アメリカ合衆国
  10. 恋愛小説家 アメリカ合衆国

日本公開映画

1998年の日本公開映画を参照。

受賞

  • 第71回アカデミー賞
    • 作品賞 - 『恋におちたシェイクスピア』
    • 監督賞 - スティーヴン・スピルバーグ(『プライベート・ライアン』)
    • 主演男優賞 - ロベルト・ベニーニ(『ライフ・イズ・ビューティフル』)
    • 主演女優賞 - グウィネス・パルトロー(『恋におちたシェイクスピア』)
  • 第56回ゴールデングローブ賞
    • 作品賞 (ドラマ部門) - 『プライベート・ライアン』
    • 主演女優賞 (ドラマ部門) - ケイト・ブランシェット(『エリザベス』)
    • 主演男優賞 (ドラマ部門) - ジム・キャリー(『トゥルーマン・ショー』)
    • 作品賞 (ミュージカル・コメディ部門) - 『恋におちたシェイクスピア』
    • 主演女優賞 (ミュージカル・コメディ部門) - グウィネス・パルトロー(『恋におちたシェイクスピア』)
    • 主演男優賞 (ミュージカル・コメディ部門) - マイケル・ケイン(『リトル・ヴォイス』)
    • 監督賞 - スティーブン・スピルバーグ(『プライベート・ライアン』)
  • 第64回ニューヨーク映画批評家協会賞 - 『プライベート・ライアン』
  • 第51回カンヌ国際映画祭
    • パルム・ドール - 『永遠と一日』(テオ・アンゲロプロス)
    • 監督賞 - ジョン・ブアマン(『ジェネラル 天国は血の匂い』)
    • 男優賞 - ピーター・ミュラン(『マイ・ネーム・イズ・ジョー』)
    • 女優賞 - ナターシャ・レニエ、エロディ・ブシェーズ(『天使が見た夢』)
  • 第55回ヴェネツィア国際映画祭
    • 金獅子賞 - 『いつか来た道』(ジャンニ・アメリオ)
  • 第48回ベルリン国際映画祭
    • 金熊賞 - 『セントラル・ステーション』(ウォルター・サレス)
  • 第22回日本アカデミー賞
    • 最優秀作品賞 - 『愛を乞うひと』(平山秀幸)
    • 最優秀主演男優賞 - 柄本明(『カンゾー先生』)
    • 最優秀主演女優賞 - 原田美枝子(『愛を乞うひと』)
  • 第41回ブルーリボン賞
    • 作品賞 - 『HANA-BI』
    • 主演男優賞 - ビートたけし(『HANA-BI』)
    • 主演女優賞 - 原田美枝子(『愛を乞うひと』)
    • 監督賞 - 北野武(『HANA-BI』)
  • 第72回キネマ旬報ベスト・テン
    • 外国映画第1位 - 『L.A.コンフィデンシャル』
    • 日本映画第1位 - 『HANA-BI』
  • 第53回毎日映画コンクール
    • 日本映画大賞 -『愛を乞うひと』

死去

脚注

注釈

出典

参考文献

  • 斉藤守彦『映画館の入場料金は、なぜ1800円なのか?』ダイヤモンド社、2009年11月27日。ISBN 978-4-478-01134-8。 
  • 東宝 編『東宝75年のあゆみ ビジュアルで綴る3/4世紀 1932 - 2007』東宝、2010年4月。 
    • 東宝 編『東宝75年のあゆみ 1932 - 2007 資料編』(PDF)東宝、2010年4月。 

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