エウネーオス(古希: Εὔνηος, Eunēos)は、ギリシア神話の人物である。長母音を省略してエウネオスとも表記される。イアーソーンとレームノス島の女王ヒュプシピュレーの子で、ネブロポノス、デーイピュロス、あるいはトアースと兄弟。

ヒュプシピュレーはレームノス島の女たちが男たちを殺したとき、父トアースを殺さなかったため、ネメアーの王リュクールゴスに奴隷として売られた。そして王の子オペルテースを世話しているときに目を放したすきにオペルテースを蛇に殺されてしまった。エウリーピデースの悲劇『ヒュプシピュレー』によると、ヒュプシピュレーはリュクールゴスの妻エウリュディケーに殺されそうになったが、予言者アムピアラーオスの取りなしで許された。一方、エウネーオスと兄弟のトアースはアルゴナウタイとともにコルキスまで連れて行かれた。イアーソーンの死後、2人はオルペウスによってトラーキアで育てられ、エウネーオスは音楽、トアースは戦争の武具を扱う訓練を受けた。さらに祖父トアースと再会してレームノス島に帰国した。後にエウネーオスは兄弟とともに母を捜してネメアーを訪れ、ヒュプシピュレーと再会し、許されてともにレームノス島に帰り、レームノス島の王となった。

ヒュギーヌスによるとエウネーオスとデーイピュロスはネメアー競技祭の徒競走で勝利した。

トロイア戦争ではエウネーオスはギリシア軍のために多くのブドウ酒を送った。またアキレウスに捕らわれたプリアモスの子リュカーオーンを祖父トアースの宝物である銀の混酒器で買い取った後、イムブロス島の王エーエティオーンに3倍の値段で売った。

系図

脚注

参考文献

  • アポロドーロス『ギリシア神話』高津春繁訳、岩波文庫(1953年)
  • 『ギリシア悲劇全集12 エウリーピデース断片』「ヒュプシピュレー」久保田忠利訳、岩波書店(1993年)
  • ヒュギーヌス『ギリシャ神話集』松田治・青山照男訳、講談社学術文庫(2005年)
  • ホメロス『イリアス(下)』松平千秋訳、岩波文庫(1992年)
  • 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』岩波書店(1960年)

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